2018新春浅草歌舞伎

お正月は浅草で…
新春浅草歌舞伎が浅草を盛り上げます!

浅草公会堂にて

平成30年1月2日(火)初日~26日(金)千穐楽
第1部 午前11時開演  第2部 午後3時開演

2018新春浅草歌舞伎

■ 公演スケジュール ■

新春浅草歌舞伎(表)

★:1月20日(日)第2部は、「着物で歌舞伎」の日です。皆様、お着物でご観劇下さい。
「着物で歌舞伎」ご来場のお客様全員に記念品を進呈いたします。


■ 演目と配役 ■

演目と配役

■ 演目紹介(あらすじ) ■

第1部(午前11時開演)
『義経千本桜 鳥居前』

 兄源頼朝から謀反の嫌疑をかけられた源義経(種之助)は都を落ち延び、伏見稲荷の鳥居前までやって来ます。義経の愛妾の静御前(梅丸)は同行の願いを聞き入れられませんが、遅れて駆けつけた武蔵坊弁慶(歌昇)は、義経から軽率な行動を責められるものの静御前が取りなし、一行に加わることを許されます。嘆き悲しむ静御前に義経は、後白河法皇から拝領した初音の鼓を渡して都で待つように諭し、後を追えないよう静御前を梅の木に縛りつけ参拝へと出かけます。
 頼朝方の追っ手の逸見藤太(巳之助)が静御前を連れて行こうとするのを、義経の忠臣佐藤忠信(隼人)が助けます。参拝から戻った義経は、忠信に褒美として自身の鎧を与え、都までの静御前の守護を頼み、西国へと旅立ちます。

 三大名作のひとつ『義経千本桜』の二段目、「鳥居前」。前半は義経主従と静御前のやりとりが様式美の中で描かれ、後半は静御前を助ける忠信が勇壮な姿で現れ、荒事の立廻りや狐の本性を顕す「狐六方」などがみどころです。

『元禄忠臣蔵 御浜御殿綱豊卿』

 赤穂城主・浅野内匠頭が江戸城の松の廊下で吉良上野介を斬りつけた事件から一年後の元禄十五年の春。徳川綱豊の別邸御浜御殿では、年中行事のお浜遊びが開催され、賑やかな様子。昔、浅野家に奉公し、今は綱豊からの寵愛を受ける中臈お喜世(米吉)が上臈浦尾(歌女之丞)から責められているのを、御祐筆の江島(新悟)が救います。お喜世は徳川綱豊卿(松也)に赤穂浪士である兄の富森助右衛門(巳之助)が吉良も参上するお浜遊びの見物を希望していると伝えます。
 政事には関心がないよう装う綱豊ですが、学問の師の新井勘解由(錦之助)には浪士たちに仇討ちをさせてやりたい心中を明かします。そこへ助右衛門が現れるので、綱豊は助右衛門を挑発し、浪士たちに仇討ちの意志があるのか探り…。

 真山青果の『元禄忠臣蔵』は全十編からなる大作で、「御浜御殿綱豊卿」は第五編に当り繰り返し上演される人気の場面です。中でも対面した綱豊と助右衛門が、互いの真意を探り合う台詞の応酬が眼目です。「義のあり方」を追求した昭和の新歌舞伎の名作をご覧ください。

第2部(午後3時開演)
『操り三番叟』

 松羽目の舞台では、千歳(隼人)と翁(錦之助)が厳かに登場し、天下泰平と国土安穏を願い舞います。ふたりが去り、後見(梅丸)が現れて箱の中から三番叟(種之助)を取り出し、人形に操り糸をつけた途端、三番叟は軽快に踊り始め、五穀豊穣を祈り舞い踊ります。

 この作品は、題名通り、糸操り人形が三番叟を踊るという趣向。前半は翁と千歳による品格ある厳かな舞いが眼目で、後半は三番叟の人形振りと躍動的な踊りが楽しい、華やかな舞踊です。

『双蝶々曲輪日記 引窓』

 石清水八幡の里にある南与兵衛の家では、放生会を明日に控え、与兵衛の女房お早(米吉)と母のお幸(歌女之丞)が与兵衛の帰りを待っています。そこへお幸の実子で幼少時に別れた角力取りの濡髪長五郎(松也)が訪ねてきたので、お幸は喜び、義理の息子の与兵衛に会わせたいと招き入れます。
 そこへ与兵衛(歌昇)が平岡丹平(巳之助)と三原伝造(隼人)を連れて帰宅すると、丹平は大坂で侍を殺めた下手人の行方を探すよう依頼し人相書を渡します。初仕事に勇む与兵衛ですが、その下手人こそが長五郎で…。

 『双蝶々曲輪日記』の八段目にあたり、通称「引窓」と呼ばれるように、明かり採りのための天窓である引窓の開閉と月光の明暗が物語の展開の鍵となります。家族それぞれが互いの立場を思いやり苦心する姿を描き、義理と人情に溢れた世話物の一幕をご覧ください。

『京人形』

 彫物師の甚五郎(巳之助)は、京の廓で見初めた太夫に生き写しの人形を彫り上げると、女房おとく(種之助)に仲居役をさせ、人形相手に酒を飲み始めます。すると京人形の精(新悟)がぎこちなく動き出し、懐に太夫の鏡を入れると今度は淑やかな振る舞いで踊り始めます。
 甚五郎が匿う旧主の妹の井筒姫(梅丸)に追っ手が迫り、従者の奴照平(歌昇)が現れると、傷を負った甚五郎は左手一本で果敢に捕手たちに立ち向かうのでした。

 日光東照宮の眠り猫で有名な彫物師・左甚五郎を主人公にしたユーモラスな舞踊劇。人形の精の踊り分けや甚五郎の粋な立廻りがみどころです。

また、毎年恒例となっております、お年玉〈年始ご挨拶〉にもご期待いただき、新年で賑わう浅草の街で、次代を担う若手の公演をお見逃しなきよう、皆さま是非劇場へお越しください!


■ 出演者 ■

尾上松也  (おのえ まつや) 【二代目 屋号:音羽屋】
昭和60年1月30日生まれ。六世尾上松助の長男。平成2年に二代目松也を名乗り初舞台。新春浅草歌舞伎には平成27年から4年連続して6回目の出演。浅草では、平成28年の「四の切」、29年の「吉野山」において『義経千本桜』の狐忠信を続けて演じた。最近は大河ドラマやミュージカルなど幅広い活躍を見せる一方で、9回目を迎えた自主公演「挑む」では『番町皿屋敷』の播磨を初役ながら清新に勤め上げ、古典の研鑽を積んでいる。新作歌舞伎『マハーバーラタ戦記』での力演も印象的。いま伸び盛りの華がある立役。
中村歌昇  (なかむら かしょう) 【四代目 屋号:播磨屋】
平成元年5月6日生まれ。中村又五郎の長男。平成6年に四代目中村種太郎を名乗り初舞台の後、平成23年に父の前名の歌昇を四代目として襲名。新春浅草歌舞伎には3年ぶり4回目の出演。良く通る声で、形良く、力強い立役の印象だが、最近は『妹背山婦女庭訓』の求女や『一條大蔵譚』の鬼次郎など時代物の爽やかな役も演じている。播磨屋一門で古典の基礎を固めながら、弟の種之助と続けている勉強会「双蝶会」は3回目を迎えた。義太夫狂言を意欲的に学ぶ志の高い花形の一人。
坂東巳之助 (ばんどう みのすけ) 【二代目 屋号:大和屋】
平成元年9月16日生まれ。十世坂東三津五郎の長男。平成3年に初お目見得の後、平成7年に二代目巳之助を襲名して初舞台。新春浅草歌舞伎には5年連続7回目の出演。浅草では父が得意とした古典や舞踊に次々と挑み、平成29年の『傾城反魂香』では、悲哀と愛嬌ある浮世又平を楷書で演じた。スーパー歌舞伎II『ワンピース』での活躍をはじめ、『野田版 桜の森の満開の下』のハンニャなど、古典の型を崩さずに役の個性を自然に滲ませる役作りは父譲り。今後のますますの活躍に期待が高まる立役。
坂東新悟 (ばんどう しんご) 【初代 屋号:大和屋】
平成2年12月5日生まれ。坂東彌十郎の長男。平成7年に初代新悟を名乗り初舞台。新春浅草歌舞伎には2年ぶり5回目の出演。女方を中心に時代物、世話物の古典から新作まで幅広い作品に真摯に取り組んできた。高音ながら安定した聞き取りやすい美声が特性。祖父の追善の『修禅寺物語』では楓を可憐に演じた。初参加のスーパー歌舞伎II『ワンピース』では、ナミ、サンダー・ソニア、サディの3役を勤めた。スラリとした佇まいを活かした色気溢れる役作りが好評を得た。
中村種之助 (なかむら たねのすけ) 【初代 屋号:播磨屋】
平成5年2月22日生まれ。中村又五郎の次男。平成11年に初代種之助を名乗り初舞台。新春浅草歌舞伎には3年ぶり5回目の出演。父譲りの舞踊の巧さに支えられて、女方から立役までどの役でも生き生きと取り組む姿勢が好印象。兄と切磋琢磨しながら続ける勉強会では『一條大蔵譚』の大蔵卿と『傾城反魂香』の女房おとくの大役に挑戦。特におとくでは夫を想う情愛を丁寧に描出しようとした。他方で『マハーバーラタ戦記』の沙羽出葉王子で見せた立廻りも新鮮。現在、急成長の若手。
中村米吉 (なかむら よねきち) 【五代目 屋号:播磨屋】
平成5年3月8日生まれ。中村歌六の長男。平成12年に五代目米吉を襲名して初舞台。新春浅草歌舞伎は2年ぶり6回目の出演。小柄で可愛らしい顔が人気の女方だが、最近は色香と品格も備えてきた。先輩相手に大役に恵まれることが多く、吉右衛門の『弁慶上使』では卿の君と腰元しのぶを、仁左衛門の『御所五郎蔵』では傾城逢州を、玉三郎の『沓手鳥孤城落月』では千姫を演じた。現在、時代物から世話物まで多様な役柄を吸収して、芸の幅を広げている。今後の成長が楽しみな花形の女方。
中村隼人 (なかむら はやと) 【初代 屋号:萬屋】
平成5年11月30日生まれ。中村錦之助の長男。平成14年に初代隼人を名乗り初舞台。新春浅草歌舞伎には7年連続7回目の出演。すらっとした立ち姿と二枚目の顔立ちが魅力の立役。平成29年新春浅草歌舞伎の『鈴ヶ森』では、父の長兵衛を相手に若衆の権八を美しく爽やかに勤め、「角力場」では、つっころばしの和事味ある与五郎にも挑んだ。スーパー歌舞伎II『ワンピース』では、サンジ、イナズマ、マルコの3役を勤めた。テレビ出演も相俟って、人気急上昇中の花形の一人。
中村梅丸 (なかむら うめまる) 【初代 屋号:高砂屋】
平成8年9月12日生まれ。一般家庭に生まれ、平成17年1月国立劇場『御ひいき勧進帳』富樫の小姓で初舞台。平成18年4月中村梅玉の部屋子となり、歌舞伎座『沓手鳥孤城落月』の小姓神矢新吾、『関八州繋馬』の里の子竹吉で中村梅丸を名乗る。新春浅草歌舞伎には6年連続6回目の出演。
『毛抜』錦の前や『雪之丞変化』娘浪路などの女方を初々しく勤め、立役も勉強中の伸び盛りの花形。
中村錦之助 (なかむら きんのすけ) 【二代目 屋号:萬屋】
昭和34年9月29日生まれ。四世中村時蔵の次男。昭和39年に信二郎を名乗り初舞台の後、平成19年に二代目錦之助を襲名。新春浅草歌舞伎には3年連続4回目の出演。『傾城反魂香』の修理之助のような颯爽たる役柄もはまり役だが、平成29年の浅草の「角力場」の濡髪長五郎や『鈴ヶ森』の幡随院長兵衛など風格ある鷹揚な役にも存在感が滲み出る。また『伊賀越道中双六』の股五郎のような仇役にも味がある。花形俳優たちを支えながら、芝居の中では揺るぎない大きさと深さを垣間見せる立役。

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